5ラウンドシステムの成果?続編2

 さて、前回は熊谷と川口の学力テストの得点を県平均と比較してみました。その結果5ラウンドシステムの成果は現状得点にはあまり表れていない旨を書きました。それでも数値に表れない本当の英語力はついているという考えもあるかもしれませんが、それは客観的には知る由がありません。

 今年の4月から教科書が改訂されました。いろいろと調べた結果どうやら改定前は全国の自治体で地域内全校で5ラウンドシステムを実施している学校は埼玉県の熊谷市と川口市、それに広島県の福山市の3自治体だけのようでした。あとは一部の公立中と中高一貫の私立では独自に実施しているところもあるようです。同じ埼玉県の川越市など、今年度からさらにいくつか増えるという報道を見ています。該当地域の方はご存じでしょうが、よその人間にとってはなかなか把握が難しいものです。ただ光村の教科書を使っている自治体は全国にも結構あると思いますので、その地域ではどういった授業をされているのか関心があります。

 ということで遠く離れた福山市のことを調べてみましたが、こちらでもやはり問題意識を持っている方がいらっしゃったようです。教育問題に熱心なとある市議会議員の方です。同じように5ラウンドシステムに懐疑的になり、議会の中で教育委員会に質問を繰り返されたそうです。

 その結果、福山市では教育委員会と市内の学習塾で5ラウンドシステムについての意見交換会が開かれたとのこと。さらに、今年度から福山市では5ラウンドシステムを採用するかどうかは各教師の判断に委ねられるとのことです。教育委員会と学習塾の話し合いなど聞いたことがありません。それだけこの議員の方の熱心さが伝わった結果だと思います。翻って川口市にはそういう議員さんがいらっしゃるのでしょうか。学校の先生が教育委員会に意見するのは難しいと思いますので、こういう議員さんが川口市にもいらっしゃることに期待します。

 5ラウンドシステムが誰が見ても劇的な成果が見込めるのなら私も大賛成ですが、これを取り入れた地域では軒並み疑問の声が上がっているのが現状です。システム自体はいいと思うのですが、誰にでも通用するかどうかが疑問であるという点です。早い話が、最初から学力が高い生徒には効果が見込めるけど、大多数の生徒にとっては絵に描いた餅ではないかということです。

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5ラウンドシステムの成果?続編1

 2年半以上前に書いた5ラウンドシステムの成果?という投稿があるのですが、いまだにこの記事に対するアクセスが定期的にあります。それも月1とか週1ではなくほぼ毎日のようにあるのです。おそらく検索されてのことだと思いますが、それだけ興味を持っている方が多いのでしょう。特に今年は教科書の改訂期にあたり新しく5ラウンドシステムが始まる学校もあるもあると思います。当時の記事は こちら

 さて、当時は川口市はまだ始まったばかりということで先行導入した熊谷市を例にとりました。いくら現場の人が、これは画期的なシステムだとか成果が期待できるといっても、客観的に判断するにはやはりテストの結果を見るしかありません。それも県単位や全国規模のテストです。それで当時は埼玉県で行われている学力検査の数値を使いました。

さらに3年分の数値を追加して見てみます。

春に実施されるため中1には英語がありません。よって中2と中3のデータです。埼玉県の平均と熊谷市の平均を並べてみました。(出典:埼玉県教育委員会)

平成28年に熊谷市の全中学でラウンドシステムが導入されました。よって成果が現れるのは翌29年からです。画像でいうと、黄色が導入前、青色が導入後の結果です。これを見て5ラウンドシステムの成果が出た!と思える人は10人中何人いるでしょうか。

続きまして川口市も見てみます。

 川口市で5ラウンドシステムが導入されたのは令和3年、よって翌4年からが比較対象となります。少なくとも点数で判断する限りこちらも際立った成果があるとは思えません。

 導入されるときは革命的なシステムのような宣伝文句でした。となると少なくとも県平均より+10点くらいは高い数値を期待してしまいます。ところがほぼ現状維持、厳密に言うと熊谷も川口も導入前より低くなっています。

 前回は様子見だったので書かなかった事実が一つあります。それはこの調査の県平均というのは県平均であって県平均ではないのです。何のことかと言いますと、実はこの調査には県で一番人口の多いさいたま市が参加していないのです。政令指定都市だから独自の調査をしているのでしょう。これが何を意味するのか、分かる方には分かると思います。

 何を隠そう、さいたま市は全国で1,2を争うほど英語の学力が高い自治体なのです。それは何度かニュースにもなっています。ちなみにある文科省の調査ではさいたま市は5年連続で中学生の英語力全国1位の自治体となっています。

 そのさいたま市が参加していない中での平均点です。ということは県内の人口比20%を占め、全国TOPの英語力を持つさいたま市が参加したら平均点が一気に上昇し、熊谷市も川口市もあっという間に平均以下になることは明らかです。おそらく2~3点はマイナスになると思います。なお、さいたま市では今も昔も5ラウンドシステムは採用しているという話は聞きません。

 以前にも書いたかと思いますが、私は5ラウンドシステム自体を否定しているのではありません。勉強のやり方にはいろいろな方法があっていいと思います。ただ、この方法では教科書の内容は暗記できても、中学生にとっての喫緊の課題である模擬テストや入試には成果が現れにくいということです。

 すでにご存じの方も多いように、5ラウンドシステムでは文法は後回しです。しかし中3の1,2学期の模試には当然中3の文法も出題されます。

 学校の先生も大変だと思います。横浜の中高一貫校でうまくいったからといって、普通の中学生が同じことをやってもうまくいくかどうかは分からないでしょう。

 5ラウンドシステムを最初に始めた横浜市立南高校付属中学は名前の通り中高一貫校です。横浜のことは詳しくないので、ちょっとネットで調べてみたら信頼できると思われる塾の偏差値では、同じ公立の中高一貫校であるさいたま市の市立浦和中より2くらい高めでした。これだけで埼玉県の人には結構高い数値であることはご理解いただけると思います。

 しかも中高一貫校ですから高校受験の心配もなく、そもそもの英語の学習時間も通常の公立より多い学校です。その比較的、どころかかなりの学力を持った生徒たちに行ってうまくいった授業と同じことを、とくに受験勉強の経験もなくアルファベットも書けるかどうか怪しい中学生に実施してはたして同じ成果が期待できるでしょうか。

 始まって数年たちますが、なぜかネットにはいい評判があふれています。それは宣伝のためのマスコミの記事や、関係者が発しているからです。もちろん実際に授業を行っている学校の先生が表立って批判することはできません。しかし塾に出入りしているいろいろな教材関連の営業の方に聞くと、あいかわらず5ラウンドシステムに関していい評判は聞きません。どこの塾でも苦労しているようです。おそらく学校の先生も苦労しているだろうと思います。

 そんななか、5ラウンドシステムについてなかなか興味深い記事を発見しました。長くなったので次回触れたいと思います。

いまだに慣れない英語の4本線

 あまり話題になっていませんが、数年前から英語の4本線の間隔が新しくなりつつあるのをご存じでしょうか。すでに前回改定の教科書には載っていますが(もちろん4本線があるのは中学では中1だけです)ほとんど普及していません。

 ためしに現中1に聞いたら小学校の頃は英語を書くことをやらないので、まったく記憶にないとのこと。ためしに現中2に聞いても、中1のころ学校で見た記憶はないとのこと。

 なんのことか意味不明の方に画像をササっと作りました。

 上が従来の線。下が最近登場しだした線です。一見してわかるように、新しい方は中段だけやけに広いのです。もう何十年も上で慣れているので、いきなり下の線が出てきてもバランスよく書くのに苦労しそうです。

 さて、教材はどうなっているのかというと、はっきりいってバラバラです。新しい下の方式で作っている教材もあれば、従来の上の方式で作っている教材もあります。塾の教材を選ぶとき問題の内容で選んでいるため、線の間隔までは考えていませんでした。文房具店などに売っているノートは圧倒的に上が多いと思います。ためしに楽天市場で検索すると、やはり従来の幅の方が多く見られました。ただ新しい方もチラホラとみられます。

 はたして学校ではどちらで習っているのか、再度確認してみたいと思います。まあこの線は中1の1学期くらいしか使わないので、そんなに気にすることでもありませんが、bとかdとかこの線に書いたら、ものすごくバランス悪い字になる気がします。ちなみに塾では従来の線で教えています。

 例えば、大学ノートの罫線などはJIS規格で決まっているはずです。(Aは7mm Bは6mm)英語のノートに関しては現状バラバラなので、できれば統一してほしいところです。統一しないのなら、学校ではどちらでもいいことにしてほしいものです。頑固な先生の中には先生の言う通りに書かないとすべて不正解という昭和主義をいまだに突き通す先生もいます。

 中1の小テストです。従来の間隔でプリントは作っていますが、特に問題ないと思います。学校で新しい方で練習するようにと言われたら、塾でもそれに合わせたいと思います。

中3まもなく締め切ります

 今日は木曜日で中3の授業の日でした。当塾は学年により曜日を決めています。
中1は火・金
中2は水・土
中3は月・木(2学期から土も)
 学年が変わるたびに曜日も変わります。新しい曜日になって中3は3回目の授業となりました。数学と社会はすでに中3の内容に入っています。英語はまたしてもラウンドシステムのため、しばらく様子見です。理科は教科書通りならイオンからで、いきなりの難関単元。昨年の中3理科は最初物理で(力とエネルギーと仕事)まあ簡単な内容でした。イオンは高校の知識が必要な部分もあり、中学生にはちょっと難しいところです。

 さて、この学年は中1から少しずつ新メンバーが増えており新中3になるタイミングでさらに一人加わったため、残る座席は1つとなりました。残席の周りは女子が占有しているため、入塾を希望する女子でしたら問題ないと思います。男子の場合は少し席を移動させるか、女子の隣でよければ問題ありません。いずれにしろここ数年夏休み以降の受付はしていないため、この学年(緑ジャージ)の受付は間もなく終了いたします。

 どこの塾でも同じだと思いますが、年によって塾生の移動が激しい年があれば穏やかな年もあります。去年の中3は、残念ながら退塾する生徒が例年より多い年となりました。一方今年の中3は退塾する生徒はほとんどいません。最初5年生の時4名で始まったこの学年ですが、少しずつ増えていまは満席寸前です。

頑張って小テストに取り組んでいるところです。画像左にギリギリ映っているでしょうか、テキストが山積みになって今は荷物置き場になっているところが残る席1つです。実際にはあと6個くらいは机も椅子もありますが、私が一人で見られる範囲というところで、定員を決めています。

第31回小テスト

一生懸命解いていた小テストです。裏面には英語もあります。画像は前回の小テストで中3の内容に入ってすぐの回です。したがって2列目と3列目が中3の内容で、1列目と4列目は中1、中2の内容です。このように小テストには習ったばかりの内容と、はるか昔1年以上前の内容を混在させています。小テストを通じて常に以前の内容の復習もできるようにしています。当然ですが、北辰にも入試にも中1、中2の内容は出題されます。そのあたりを意識しています。

新小5(28期生)スタート!

 今日は学校では新学期二日目。塾としては新小学5年生スタートの日です。新聞広告を出そうか悩みましたが5年くらい前にお願いした印刷屋さんが休業中だったので断念。ホームページでの告知だけにとどまりました。それでも申し込んでくださった方がいらっしゃり3名でのスタートとなりました。

 毎度のことですが、初日の顔合わせの時は生徒の緊張感マックスです。初日はまず塾のルールなどを話し残り半分の時間で授業を行いました。算数に関しては皆さんの実力は未知数なので、まずは手探り状態です。質問をしながら、計算の過程を見ながら、答えをあてながら、小テストの結果を見ながら、徐々に確認していきたいと思います。塾でも話しましたが、間違えるのは一向にかまいません。むしろ間違えてくれた方が、どのあたりが分かっていないのかこちらの判断材料になります。まだ人数が少ないので、ひとりひとりをじっくりと見ることができます。ただ、塾としてはいつまでも少ないままだと運営に支障が出るため、いずれは増えていってほしいと思っています。

 5年生は原則として算数だけを行います。今年も国語のテキストを別にとりこちらは宿題専用にします。算数が得意な人はもっと得意になるように、算数が苦手な人はまずは理解できる問題が増えるように、そしてゆくゆくは得意教科といえるようにしていきたいと考えています。

 タイトルにもありますように、よく考えたらこの世代(新5年生)は塾としては通算28期目になります。塾を始めたのが2002年で当時の中3を1期生とカウントしていますので、当時の中3は27歳年上となります。あれよあれよという間に今年24年目を迎えることになりました。小さい塾ですが、勉強しに来てくれた塾生の皆さんのおかげ、保護者の皆様のおかげです。今年度もよろしくお願いいたします。

理科の教科書

 今年は中学の教科書改訂にあたります。基本的に中学の教科書は同じ教科書を4年間使うことになっていて、4年ごとに教科書が変わります。変わると言っても今回はたいして変わりません。学習指導要領が大幅に変更になれば話題にもなりますが、今回は全くと言っていいほど変更はなく、ただ教科書が新しくなるだけです。

 公立の場合自治体ごとに教科書は決まっていて、埼玉県は25地区に分かれています。川口は第2地区にあたり、国語、英語、数学、社会は前年度と同じ教科書会社です。理科は諸事情により会社が変わりました。変わること自体はいいのですが、今年度から使うことになる東書は前年度までの大日本と、学習内容の順番が異なります。

 例えば中3の場合、履修順に
昨年は物理、生物、化学、地学 ですが
今年は化学、生物、物理、地学 の順です

 ちなみに隣のさいたま市が採用している啓林館という教科書では
今年は生物、地学、化学、物理の順です

去年と今年の順番が違うのはそこまで困ることはありませんが、教科書によって習う順番が違うのは各方面に多大なる影響があります。まず北辰テストですが、ある地域では習っているけど他の地域では習っていないとなると中3の内容が試験に出せないのです。実際北辰図書からもその旨発表されており、第4回までは中3の内容は出題されません。

あと困ると言えば塾でしょうか。うちのように戸塚中限定にしていれば問題はありませんが、東川口というのはちょうど市境で、駅周辺には川口市、さいたま市、草加市、越谷市の生徒が集まる塾も多くあると思います。この4つの市は地域区分も見事にバラバラつまり教科書もバラバラです。理科で言うと、川口、草加は同じですが、さいたま市は別の教科書、越谷市はさらに別の教科書です。先ほど書いたように教科書で習う順番が違うということは、集団指導の塾の場合そろえることも不可能です。市でクラスを分けるか、個別指導で対応するしかありません。

 塾を選ぶときにこういうことまで考慮する人はあまりいないと思いますが、実際のところ教科書はバラバラなので塾内でそろえるのは難しいのです。そういうこともあって当塾では戸塚中限定にしているわけです。教科書の内容が違うのは3年生だけではありません。1年も2年も同様です。したがって、対応が難しいため理科や社会は中1・中2では学習しない塾も多くあります。うちの塾生が理科、社会を得意教科にしているのは1年生からしっかり学習できるからです。

 同様のことが全国どの地域でも起こっているわけです。教科書会社同士で話し合ってせめて履修順を同じにするなどの措置を取ってくれたら、模試の会社も、いろいろな塾も対応が楽になるのですがいかがなものでしょうか。