得点アップ表記にだまされるな

 先日塾の郵便受けに他の塾のポスティングチラシが入っていました。新聞をとる家庭も減っているのでポスティングは新聞広告に代わって今後増えていくと思います。さて、このチラシにも少し書いてありましたが得点アップの宣伝。これは表記をしっかりしないと逆効果になりかねません。

たとえば、ある塾のチラシやホームページに次のような表示があったとします。

これは私が勝手に作った文章で、さすがにここまで雑な文言はないと思いますが、いろいろなことが欠けています。それを箇条書きでまとめてみます。

・教科が不明
・比較対象が不明
・平均点が不明

個人情報については厳しい時代なので、名前を載せるのは難しいですがイニシャルとか学校名はほしいところです。

さて、まず一つ目。20点アップと書かれても国語なのか数学なのか分かりません。これは不親切すぎます。ひょっとしたら5教科での得点アップかもしれません。いずれにしても見る人が分かるように表記するべきです。

続いて二つ目。いったいいつのテストと比べているのか分かりません。通常は一つ前のテストと比べますが、その記載がないなら、ひょっとしたら入塾前のテストとか過去一番悪かった時と比べているのかとか、あらゆる疑念が生じてしまいます。

続いて三つ目。通常平均点まで書く必要はないと思いますが、得点が20点上がっても平均点も20点上がっているのならごくごく普通の結果となるし、多くはありませんが平均点が25点上がっていれば20点アップはむしろ悪い方になってしまいます。

広告を見る人が皆私のような猜疑心のかたまりのような人ばかりとは限らないので、得点アップが書いてあれば素直に信用してしまう人も多いと思います。

ちなみに偏差値なら大丈夫かというとこれもまた母集団による学力の違いなどがあるので、慎重に見極める必要があります。

と、ここまで言っておきながら、今回の中間テストの塾生の得点について前回(1学期期末)と比較した際の得点アップを掲載したいと思います。小規模塾につき学年は割愛します。また平均点は現時点で不明です。

数学 Sくん +44点
国語 Fくん +38点
理科 Nくん +36点
社会 Mくん +34点
国語 Kくん +33点
国語 Mさん +32点
国語 Nさん +31点
理科 Sくん +30点
社会 Iさん +29点
社会 Kさん +29点
社会 Tくん +29点
理科 Kさん +29点
国語 Mくん +28点
理科 Sくん +26点
英語 Aさん +25点
英語 Uさん +25点
国語 Kくん +25点
英語 Kくん +23点
国語 Nさん +23点
理科 Oくん +21点
国語 Aさん +18点
社会 Uさん +18点
社会 Nさん +18点
国語 Kさん +17点
国語 Hさん +17点
社会 Mくん +17点
理科 Mさん +17点
国語 Nくん +16点
国語 Fさん +16点
社会 Tくん +16点
理科 Fくん +16点
理科 Nさん +16点
国語 Oくん +15点

 +10点以上にしようと思いましたがかなり長くなるのでこの辺で打ち切ります。すべて前回テスト(1学期期末)との比較です。もちろん全員戸塚中生です。こうしてみると結構な数ですね。ただし前半にも書いたように、これは塾の宣伝であって素直に受け取るのは危険です。もちろん数字自体に嘘はない(あったら問題です)としても、平均点が不明ですし、そもそも上がった分しか掲載していないので、下がった分に関してはノータッチです。

 仮に下がったとしても平均点がそれ以上下がっていればそれほど気にすることもないのですが、合格実績数に代表されるように塾の広告というのはとにかく数字をよく見せようとするものです。そういうこともあってうちの塾では得点アップに関しては今まで積極的に掲載してきませんでした。今回は啓発的な意味も込めて掲載しましたが、うちのような小規模塾でもこれだけを見るとものすごく成績が上がる塾のように見えてしまいます。実際これだけ上がっているのは事実ですし、それは塾生が頑張った結果です。

 私は塾生の成績が上がるのは、塾の力は半分くらいだと思っています。残りの半分はもちろん塾生自身の力です。ですから成績が上がっているのは皆さんの努力の証でもあるのです。