中1基礎を鍛える

 夏休み中の授業は、中3は夏期講習で1年生からの総復習で現在半分近く終わったところです。かなり忘れているところがあるようで再確認に余念がありません。夏期講習で触れていなかったらおそらく放置したままで2学期の北辰や入試を迎えることになったところです。残り半分ありますが、まだまだ確認作業と問題演習に時間をかけていきます。

 さて、中1の場合は夏期講習という特別な時間は取っていませんが夏休みも平常通り授業を行っています。ただ学校の授業がない分、塾ではかなり時間をかけて丁寧に説明ができます。特に基本が大切な数学と英語に時間をかけています。数学は本格的に算数から数学に変わってきたころです。小6の算数と中1の数学の一番のちがいは、抽象的には諸説ありますが、単純にいうと文字式を多用するようになることだと思います。しかもこの文字式は中2でも中3でももちろん高校の数学でも使います。というか文字式の計算ができないと数学はほぼ壊滅状態になると言えるでしょう。実際、中2や中3から入塾する生徒でも文字式の計算ができない生徒はたくさんいます。

 ということで、時間があるこの時期に慎重に文字式の計算の解説しています。

 今日取り組んだ内容です。中1で学習する文字式の計算もこのあたりでほぼ終了です。タブレットや動画を見ただけで分かったつもりになっても困るので、うちの塾ではホワイトボードに書きながら説明をします。塾生もしっかりノートに書き、必要ならメモも加えていきます。昔ながらの方法ですが一番確実な方法です。タブレットや動画で劇的に成績が上がるとは思えません。実際最近の学力テストでは中学生の学力低下が話題になっていました。タブレット学習だけが原因とは思えませんが、一因ではあることは明らかでしょう。

 ついでに今日渡した宿題です。以前学習した内容を忘れたら困るので結構さかのぼって問題にしています。このあたりは自作でいくらでも対応できます。ちなみに数学の教材、特に文字式や計算や方程式は毎年私がPCで作成しています。去年の使いまわしではなく、今見ている塾生に必要なものを毎回作っています。手間はかかりますが、これで理解してくれれば手間は惜しみません。今後数学は文字式を使った関係式の作成から、中1最大の山場である(個人の感想です)一次方程式に入ります。上の学年と比べてこの学年はまだ塾生が少なめですが、塾生全員に完全に理解させたいと思います。

2027年度入試について

 今日教育委員会から2027年入試についての追加情報が発表されました。以前から内申の扱いや面接の全校実施については発表されていましたが、それよりももっと重大な事柄です。こういうのは何度も分けてではなくまとめて発表してほしいところです。

 2027年度入試(現在の中学2年生)の県・公立高校入試は得点換算で9割がマークシートになるとのことです。残りの1割は記述式。これは数学の証明とかでしょうか。そもそも以前(40点満点の時代)は英語も社会も記号が多く、マークシートと同じような感じでしたがゆとり教育以降、学力向上をかかげて記述式の問題が年々増えてきました。

 そこでマークシートです。一気に20年以上時代が戻った感じです。理由は採点業務の軽減や迅速かつ正確な採点を実現するためだそうです。毎年どこかの県で採点ミスが発生しているので、マークシートにすれば確かに採点ミスはなくせそうです。ただ採点業務の軽減を目的にするのなら、まっさきに思いつくのは面接の廃止でしょう。今現在普通科のほとんどの高校では面接を行っていません。数分の面接で分かることなどたかが知れているからです。その時間があれば採点に時間を回したいというのが高校の先生の本音だと思います。

 ところが県の方針によって、2027年度入試からは全校で面接を実施することになりました。これも時代に逆行しています。理由は内申から消えてしまう部活などの得点を面接で補う形にしたからです。一度決めてしまった手前やっぱり面接は廃止しますと言えないでしょうから、負担軽減のためにマークシートに変更になったのでしょう。

 以前(2000年代から2010年代前半)の埼玉県の公立高校入試はかなり迷走している時期がありました。一度決めても2~3年でコロコロ仕組みを変えていた時期もありました。ここ数年は比較的落ち着いていましたが、2027年でコペルニクス的転回ともいえる変更で一気にいろいろなことが変わります。

 これにともない国語の作文も消えるそうです。あとマスコミ報道では書かれていませんが、教育委員会のホームページを見る限り、マークシート方式で選択問題も作成するようです。

 ということで来年度の入試は今年とほぼ変わりはありませんが、現中2が受ける2027年度入試では実に様々なことが変更になります。あまりにも多すぎて細かいことは割愛しますが、大きく変わる点でいうと
 学力検査の9割がマークシートになる。
 調査書から部活や生徒会、検定の評価が消える。
 全校で面接が実施される 。
 国語の入試から作文が消える。

といったところでしょうか。選択問題実施校については従来同様、英語と数学において難易度の高い問題をマークシート形式で出題されるようです。

受験者数の多い私立高校では以前からマークシート方式だったので、そこまで違和感はないと思います。むしろ生徒からしたら記述が減り、作文がなくなるということで歓迎しているかもしれません。ただその分確実に平均点は高くなるでしょう。つまりミスは許されないということです。特に難関校では1問のミスが命取りになってしまいます。

 数学に関しては、答えを選択肢から選ぶ形式と、答えの数字を直接マークする形式と併用になると思います。

夏期講習のご案内

 期末テストも終わり7月になりました。塾としては夏期講習のことを考える時期になりました。今年も下記の要領で中3を対象に夏期講習を行います。中1・中2は夏期講習という枠ではありませんが、通常通り授業を行います。

 日程:7月21日~8月30日
 時間:午後2時30分~6時30分
 教科:5教科
 内容:中1からの総復習
 講習費用:60,000円 
 教材費:10,000円
 (いずれも税込み)

授業は1日4時間授業で25日間。全100時間です。
外部生の方で参加を希望の方は先着順でご参加いただけます。受付人数は若干名(1~2名)です。満席になり次第受け付け終了いたします。なお、今年度の中3の新規受付はこの夏期講習をもちまして終了いたします。2学期以降の新規受付の予定はありません。

また、中1・中2の新規塾生も受付中です。
中1はまだ座席数に余裕がありますが、中2は残席わずかとなっております。戸塚中限定なので学校の授業進度とほぼ同じです。
期末テストの結果を受けて、真剣に勉強に取り組みたいと思われた方の参加をお待ちしています。

ザブトンとパイ

 と聞いて何のことだかわかる方は国民の5%くらいだと思います。これは中学の社会の進め方のたとえとして使われる言葉で、ザブトン型とは1年で歴史(または地理)を学習し、2年でその逆というように学年で教科を分ける方式。一方パイ型とは1年の中で地理と歴史を一定期間で区切って交互に学習する方式です。パイとは食べ物ではなく円周率のパイ(π)です。

 どちらで進めるかは強制されているわけではありませんが、ある調査によると圧倒的にパイ型の方が多いようです。特に最近は歴史の学習内容が増えており時間数も地理の1.5倍くらいかかるため、地理は1~2年で終わらせ、歴史は1年から3年の1学期までという学校が多いようです。実際にはもっと細かく定期テストごとに入れ替えたり、学期ごとに入れ替えたりと実に様々、学校によってバラバラです。

 昔の理科も同じような感じでした。いまは理科は学年ごとに教科書が作られていますが15年くらい前までは、1分野・2分野というふうに分かれていました。

 このように学校によって進度がそろっていないので、理科や社会を学習する集団指導塾は少ないと思われます。普通の塾にはクラスのなかに複数の学校の生徒が在籍することが多く、生徒によって習っている単元がちがうことになります。ある生徒にとってはとっくの昔に習った内容、ある生徒にとってはまだまだ半年くらい先に習う内容、となると塾でそろえるのは難しいので1年や2年では社会や理科を履修する塾はかなり少なめです。その点うちの塾は全員が戸塚中の生徒なので、ものすごく効率よく学習できます。1年生のうちから理科にも社会にも時間をかけて学習できます。塾生の理科社会の平均が異常に高いこと、入試でも高得点が取れていることは、学校を限定しているからにほかなりません。

 さて、ここ数年の戸塚中は1年生の前半で地理をはじめ、そのままずっと地理を続けオセアニアまで終わったところ(要は中1の内容全部)で、歴史に移行するというザブトン型に近い進度でした。2年生もまず地理を終わらせてから歴史に移っていました。

 が、今年の中1は地理からスタートしたものの、ほんの少し進んだだけで急に歴史に変更です。よって今回の期末テストは地理と歴史が半々ずつという範囲になりました。この後歴史がずっと続くのか、はたまた地理に戻るのか神のみぞ知るというところですが、どちらになろうと塾では柔軟に対応できるのでご安心ください。

 ちなみに中2は従来通りこの時期は地理が進んでいます。中3は地理は終了し、歴史となっていますがちょっと進度が遅めで、2学期の中間テストまで歴史が出ることになりそうです。塾ではかなりの時間をさいているので、塾生にとっては特に問題ありません。

学年2位

 今日は金曜日で6年生と中学1年生の授業でした。

 6年生は前回に続き分数のかけ算です。まずはいつものように計算と単語の小テストから。来週あたりから英語の授業を始めたいので、小テストの内容は文章題を減らして計算中心にしようと思います。

 来週から、算数は分数の割り算に入ります。またいよいよ英語の授業も開始します。毎回少しずつ文法事項を教えていきます。学校では単語や文章を書くことが全くと言っていいほどないようなので、塾ではどんどん書く練習をしていきます。宿題や課題でも書いて覚えてもらう予定です。ということで、塾で英語を勉強したいとお考えの6年生の方がいらしたらちょうどいいタイミングかと思います。

 夜は中1の授業でした。早速個表が配られたようです。2年生3年生がそれぞれ10名以上いるのに対し、この学年はまだ3名です。以前中学での最初のテストの目標を聞いたところ、100番以内とか平均点以上はとりたいと話していました。結果3名とも見事目標クリアとなったようです。目標クリアどころか私の思っていたよりかなり良い成績でした。うち1名は484点で5教科総合で学年2位でした。これはお見事です! 

 東川口、戸塚中の校区内には現在40を超える塾があると言われます。駅周辺には関東に何十教室もかまえる知名度の高い塾もたくさんありますが、うちのような無名の超零細個人塾でもしっかり結果につながることがお分かりいただけるかと思います。むしろうちの塾のような小さな塾だからこそ、微に入り細に入り対応できるのではないでしょうか。今でも中学は1つだけに限定しています。中1から理科も社会も学習しています。

 そういえば昨年も一昨年も、ちょうど今頃中1の定期テストの結果を見て塾での勉強の必要性を感じて入塾された方が何名もいらっしゃいました。今その生徒たちは上の学年で頑張っています。年によっては定員オーバーということもありますが、今年はまだまだ座席に余裕があります。

 ということで、6年生に続いて強引に塾生募集という展開になりましたが、6年生も中学1年生も現在絶賛受付中です。

中間テスト終了!

 昨日と今日で今年度最初の定期テストが終了しました。中3にとっては11回目でもう慣れたものでしょうが、中1にとっては初の定期テストです。感想はどうだったでしょうか。塾では何日も前からテストに向けての勉強をしてきたので、それなりに成果はあったのではないかと思います。

 今日さっそくその中1の授業がありました。テストが終わったばかりですが今日から塾では期末へ向けての勉強開始です。とはいえ中間テストも気になるので、塾生に感想を聞いてみました。また、少々問題を見ながら解説も行いました。

 テスト前に1秒も対策を行っていない英語は省略です。ラウンドシステムになってから、特にラウンド1は絵を並び替えるという遊びのような問題なので塾では対策できません。あと国語も特に説明することはないので省略です。

 理科は顕微鏡の使い方や植物の分類までが範囲で、計算などもないのでほぼ前もって勉強しておいた内容が出題されていたようです。ちゃんと勉強していれば8割は取りたいところです。社会は地理の最初の方で、こちらもそこまで難しい問題はなかったようです。

 数学は四則の計算でマイナスが入ること以外はまだ小学校の延長といった内容です。ただ計算を正確にできないと正解しているつもりでも不正解の連続ということもありえます。これからの数学にとって計算はできて当たり前という前提で進みますので、計算が苦手な人は早いうちに復習をしておきたいものです。塾でも来週あたりから上の学年同様に数学の小テストを開始しようと考えています。

 さて、数学の最後の問題だけちょっと気になりました。特に指示がなかったようですが、この問題答えが1通りではありません。ざっと計算したところ24通りも答えが考えられました。ざっとの計算なので違っているかもしれませんが、この問題で答えが分からなくて考えまくって時間が無くなった人がいたらちょっとかわいそうです。まあ最後の問題なので、そこまで他の問題に影響はなかったと思いますが、せめて「答えは複数考えられますが、そのうちの1つを答えてください」などの但し書きがあればよかったのですが。あと答えが複数考えられるということは採点するときにどうやって採点されるのでしょうか。去年あたりから自動採点が取り入れられている教科も多いのですが、まさか答えが先生の思いついた1通りだけだとしたら、正解なのに不正解扱いという事態が考えられます。来週答案が戻ってくるでしょうから、確認したいと思います。

シとツとミ

 今日は土曜日で正午過ぎから22時ごろまで10時間ほど塾生のテスト勉強につきあいました。テスト前の土日は毎回こんな感じで、なるべく多くの時間勉強してもらうことにしています。

 かといって塾生全員が入れるほど広くはないので、学年順に若い順に中1⇒中2⇒中3と入れ代わり立ち代わりです。なかには隣の部屋で最初から最後まで10時間くらい勉強している生徒もいました。

 テスト範囲の内容はほぼ終了しています。したがって範囲の最初からの復習が多くなりました。普段時間を取っていない国語については文法などの説明をしました。国語もテスト勉強用にテキストを取っています。中1・中2は塾生全員10冊以上テキストを渡しています。半分は通常の授業で使う分で、残りはテスト前に集中して取り組む分です。通常のテキストもテスト前に使えるので結構な量になります。またそれ以外にもテスト勉強用の教材を用意しています。中3は講習用や入試用を合わせると何冊になるか分からないほどです。とにかく塾生には数多くの問題を解いてもらいたいと思っています。

 さてテストが近づいてくると、私が説明する時間もだんだんと減っていき塾生が問題演習に取り組む時間が増えてきます。その間私はボケっとしているわけでもなく、塾生の書いた答えをチェックしていきます。答えの正誤は答え合わせの時や自分で丸付けする際に分かるでしょうから、私が主に見ているのは誤字の有無です。自分で気づかないから誤字になるわけですから、細かく見ています。正解しているつもりなのに不正解だったというのは避けたいところです。

 漢字のミスは特に社会に際立っています。まあ中学で習わない漢字もあるので仕方ないかもしれません。仕方なくないのはまさかのカタカナのミスです。タイトルにある「シ」が正しく書けない生徒が毎年必ずいます。今年もです。学年は関係ありません、中1でも中3でも見られます。

 カタカナのシやツを答えに書く機会が多いのはこれもまた社会です。今回の範囲だと中1の地理で「アジア」「ブラジル」「ロシア」など。中3は歴史ですが「ロシア」「ポーツマス」。どちらかというと「ツ」はまだまともですが、「シ」の点の位置が横に並んで「ツ」に見える生徒が毎年います。あと「シ」の三画目が短すぎて「ミ」に見える場合も。

ロツア ツンガポール ミミミッピ川 にしか見えません

 小学校であまり習っていなかったのか、習っていたのに気にしていなかったのか分かりませんが、さすがに中学高校でカタカナの練習などしないでしょうから、このまま放置していたら「シ」と「ツ」が書けない大人になってしまいます。おそらく今まで少々あやしくても正解になっていたのかもしれません。塾では不正解扱いにしています。うちの塾だけ特別に多いわけではないでしょう。おそらく他の塾でも、また塾に行っていない生徒でも推定ですが1割から2割くらいの中学生は正しく書けていないと思います。

 たまたまこれをご覧になった全国の小中学生の(ひょっとしたら高校生も)保護者の方や教育関係者の方がいらしたら、ぜひチェックしていただきたいと思います。

あと1週間

 今日で今年度最初の定期テストまであと1週間となりました。中2、中3についてはもう何度も受けているのでこちらからいろいろと言うことはありません。中1は初めてなのでいろいろと心構えやら、臨み方やら話をしていきます。

 テスト範囲は、中2・中3の数学がほんのわずか減ったことと、中3の理科の範囲が大きく削られたくらいでそれほど大きな変更はありませんでした。中3の理科に関しては最初に範囲を見た時からおそらく減るだろうなと思った通りになりました。

 塾の方も通常時間割を変更してテスト前特別時間割に移行します。今日はいつもどおりの中3で、明日から中1は五日連続で塾で勉強することになります。中2、中3も同じように塾に来る回数が増えます。

 一つ心配なのは、とある部活です。学校から渡される手紙にもテスト前は勉強するために部活が休みになるのだから一生懸命勉強しましょうといったメッセージが書いてあり、まさにその通りなのですが、とある部活だけはそんなメッセージは意味を成しません。

 来週の木曜日と金曜日が中間テストです。なのに、とある部活は来週の火曜日と水曜日が大会だというのです。大会に向けてテスト前も部活があり、テスト直前の二日間という一番大事な日には学校に行かないで大会に参加することになっています。部活の日程は早くに分かっていたはずです。おそらく競技場を借りるのに平日しか都合がつかなかったと推察しますが、だったら中間テストの日程ももう少し融通を効かせてもよかったのではと思います。前倒しが難しかったら翌週の月、火でもよかったのではないでしょうか。

 うちの塾には、このとある部活の生徒が中2、中3合わせて10人以上います。まじめな塾生が多いので疲れていてもおそらく塾は休まないで来ると思います。学校で授業が受けられない分塾でしっかりとフォローしたいと思います。ただ、塾に通っている生徒はまだこうやって対処の方法がありますが、塾に通っていない生徒の皆さんは結構大変なのではないかと心配になります。

5ラウンドシステムの成果?続編2

 さて、前回は熊谷と川口の学力テストの得点を県平均と比較してみました。その結果5ラウンドシステムの成果は現状得点にはあまり表れていない旨を書きました。それでも数値に表れない本当の英語力はついているという考えもあるかもしれませんが、それは客観的には知る由がありません。

 今年の4月から教科書が改訂されました。いろいろと調べた結果どうやら改定前は全国の自治体で地域内全校で5ラウンドシステムを実施している学校は埼玉県の熊谷市と川口市、それに広島県の福山市の3自治体だけのようでした。あとは一部の公立中と中高一貫の私立では独自に実施しているところもあるようです。同じ埼玉県の川越市など、今年度からさらにいくつか増えるという報道を見ています。該当地域の方はご存じでしょうが、よその人間にとってはなかなか把握が難しいものです。ただ光村の教科書を使っている自治体は全国にも結構あると思いますので、その地域ではどういった授業をされているのか関心があります。

 ということで遠く離れた福山市のことを調べてみましたが、こちらでもやはり問題意識を持っている方がいらっしゃったようです。教育問題に熱心なとある市議会議員の方です。同じように5ラウンドシステムに懐疑的になり、議会の中で教育委員会に質問を繰り返されたそうです。

 その結果、福山市では教育委員会と市内の学習塾で5ラウンドシステムについての意見交換会が開かれたとのこと。さらに、今年度から福山市では5ラウンドシステムを採用するかどうかは各教師の判断に委ねられるとのことです。教育委員会と学習塾の話し合いなど聞いたことがありません。それだけこの議員の方の熱心さが伝わった結果だと思います。翻って川口市にはそういう議員さんがいらっしゃるのでしょうか。学校の先生が教育委員会に意見するのは難しいと思いますので、こういう議員さんが川口市にもいらっしゃることに期待します。

 5ラウンドシステムが誰が見ても劇的な成果が見込めるのなら私も大賛成ですが、これを取り入れた地域では軒並み疑問の声が上がっているのが現状です。システム自体はいいと思うのですが、誰にでも通用するかどうかが疑問であるという点です。早い話が、最初から学力が高い生徒には効果が見込めるけど、大多数の生徒にとっては絵に描いた餅ではないかということです。

過去の関連記事 こちら と こちら

5ラウンドシステムの成果?続編1

 2年半以上前に書いた5ラウンドシステムの成果?という投稿があるのですが、いまだにこの記事に対するアクセスが定期的にあります。それも月1とか週1ではなくほぼ毎日のようにあるのです。おそらく検索されてのことだと思いますが、それだけ興味を持っている方が多いのでしょう。特に今年は教科書の改訂期にあたり新しく5ラウンドシステムが始まる学校もあるもあると思います。当時の記事は こちら

 さて、当時は川口市はまだ始まったばかりということで先行導入した熊谷市を例にとりました。いくら現場の人が、これは画期的なシステムだとか成果が期待できるといっても、客観的に判断するにはやはりテストの結果を見るしかありません。それも県単位や全国規模のテストです。それで当時は埼玉県で行われている学力検査の数値を使いました。

さらに3年分の数値を追加して見てみます。

春に実施されるため中1には英語がありません。よって中2と中3のデータです。埼玉県の平均と熊谷市の平均を並べてみました。(出典:埼玉県教育委員会)

平成28年に熊谷市の全中学でラウンドシステムが導入されました。よって成果が現れるのは翌29年からです。画像でいうと、黄色が導入前、青色が導入後の結果です。これを見て5ラウンドシステムの成果が出た!と思える人は10人中何人いるでしょうか。

続きまして川口市も見てみます。

 川口市で5ラウンドシステムが導入されたのは令和3年、よって翌4年からが比較対象となります。少なくとも点数で判断する限りこちらも際立った成果があるとは思えません。

 導入されるときは革命的なシステムのような宣伝文句でした。となると少なくとも県平均より+10点くらいは高い数値を期待してしまいます。ところがほぼ現状維持、厳密に言うと熊谷も川口も導入前より低くなっています。

 前回は様子見だったので書かなかった事実が一つあります。それはこの調査の県平均というのは県平均であって県平均ではないのです。何のことかと言いますと、実はこの調査には県で一番人口の多いさいたま市が参加していないのです。政令指定都市だから独自の調査をしているのでしょう。これが何を意味するのか、分かる方には分かると思います。

 何を隠そう、さいたま市は全国で1,2を争うほど英語の学力が高い自治体なのです。それは何度かニュースにもなっています。ちなみにある文科省の調査ではさいたま市は5年連続で中学生の英語力全国1位の自治体となっています。

 そのさいたま市が参加していない中での平均点です。ということは県内の人口比20%を占め、全国TOPの英語力を持つさいたま市が参加したら平均点が一気に上昇し、熊谷市も川口市もあっという間に平均以下になることは明らかです。おそらく2~3点はマイナスになると思います。なお、さいたま市では今も昔も5ラウンドシステムは採用しているという話は聞きません。

 以前にも書いたかと思いますが、私は5ラウンドシステム自体を否定しているのではありません。勉強のやり方にはいろいろな方法があっていいと思います。ただ、この方法では教科書の内容は暗記できても、中学生にとっての喫緊の課題である模擬テストや入試には成果が現れにくいということです。

 すでにご存じの方も多いように、5ラウンドシステムでは文法は後回しです。しかし中3の1,2学期の模試には当然中3の文法も出題されます。

 学校の先生も大変だと思います。横浜の中高一貫校でうまくいったからといって、普通の中学生が同じことをやってもうまくいくかどうかは分からないでしょう。

 5ラウンドシステムを最初に始めた横浜市立南高校付属中学は名前の通り中高一貫校です。横浜のことは詳しくないので、ちょっとネットで調べてみたら信頼できると思われる塾の偏差値では、同じ公立の中高一貫校であるさいたま市の市立浦和中より2くらい高めでした。これだけで埼玉県の人には結構高い数値であることはご理解いただけると思います。

 しかも中高一貫校ですから高校受験の心配もなく、そもそもの英語の学習時間も通常の公立より多い学校です。その比較的、どころかかなりの学力を持った生徒たちに行ってうまくいった授業と同じことを、とくに受験勉強の経験もなくアルファベットも書けるかどうか怪しい中学生に実施してはたして同じ成果が期待できるでしょうか。

 始まって数年たちますが、なぜかネットにはいい評判があふれています。それは宣伝のためのマスコミの記事や、関係者が発しているからです。もちろん実際に授業を行っている学校の先生が表立って批判することはできません。しかし塾に出入りしているいろいろな教材関連の営業の方に聞くと、あいかわらず5ラウンドシステムに関していい評判は聞きません。どこの塾でも苦労しているようです。おそらく学校の先生も苦労しているだろうと思います。

 そんななか、5ラウンドシステムについてなかなか興味深い記事を発見しました。長くなったので次回触れたいと思います。